EV量産はいいが...
「EVシフト日本の選択 移行期間意外と長く 早大名誉教授 大聖泰弘」(2017.9.19(火)付 日本経済新聞朝刊5面「Opinion 複眼」より)
◆ガソリン車→EVへの移行が長い理由
①電池の性能
現在のリチウムイオン電池では重く、半分~1/3にならないと、ガソリン車の走行性能には太刀打ちできない
②急速充電インフラの整備
現在のステーションではフル充電に1時間かかる場合もある。給油所並みにすると、一般家庭の100倍の電力消費を要する。
③環境に配慮したエネルギー源の確保
EV用に電力を確保するために、二酸化炭素を大量に排出する火力発電を使うことはできない。
◆その他の問題点
・購入費用が割高
・リコール対応がままならない
◆所感
筆者も車を持っていない社会人。いや、必要としていないのだが
電気自動運転車が手頃な価格になれば買おうかな~。
さりとて、環境にやさしい電気自動車を開発したはいいが、
走らそうとすると環境を悪化させてしまうというのは皮肉...。
旅行のときって散在しちゃうよな~
「出国税」導入へ論点は?
(2017.9.16(土)付 日本経済新聞朝刊3面 Q&Aより)
◆出国税とは
観光客から一定額徴収する税金。それらを観光インフラに充てることで、さらなる観光立国を目指す考え。16年度の訪日客は2400万人を超え、仮に一人当たり1000円を徴収した場合、訪日客だけでも約240億円の財源を確保できる。
◆海外ではどうか
米国はビザ免除国を対象に手数料名目で、英国は航空旅客税、仏は民間航空税、独は航空券税の名目でそれぞれ空港出発時(帰国時)に徴収している。
◆日本人は?
税には、各国と結ぶ租税条約で「内外無差別」の原則があり、日本人も対象となる可能性がある。日本人観光客も対象とした場合、合わせて410億円の財源確保につながる。
◆今後の課題は
日本では観光客ではなく航空会社に課税してきた歴史的経緯があり、航空・ホテル業界から理解が得られるかは疑問。
京都では市の条例で「宿泊税」が導入されることとなったが、国単位での新税導入は曲折が予想される。
◆所感
復興特別税を思い起こさせる。というのは、時の政府の指針によって使い道が左右される懸念があるからである。用途をなくし、議員の外遊(遊び)に散在されぬよう、機関チェックが欠かせない。
ICTは早いもん勝ち
「コベルコ建機 ICT戦略 油圧ショベル故障予知 作動油の汚れ、エンジン出力、冷却器の不調」
(2017.9.12(火)付 日刊工業新聞8面より)
◆概要
コベルコ建機が油圧ショベルの重大なトラブル防止に向けたICT戦略を進めている。
◆目的
稼働率の最大化とコスト低減の両立を狙う
◆内容
予防保全システム「Kスキャン」を搭載することにより、稼働管理システム「メリット」を通じてサーバーにデータが送られ、不調を分析することができる。
例としては、エンジンやポンプの出力、作動油の汚れ、冷却機の温度など。
また、稼働管理システム「メリット」では、油圧ショベルの稼働台数や作業内容などを把握しており、的確な保守を提供できるとしている
◆所感
ICTは今後確実にすべてのベースとなっていく。早さは同じ。重要なのは、安全性と確実性。
自動車産業のチャイナリスクは発生するのか
「中国、ガソリン車禁止へ 英仏に追従、時期検討」
(2017.9.12(火)付 日本経済新聞朝刊1面トップより)
◆概要
中国政府は、英仏が2040年までにガソリン車の販売を禁止することを受け、ガソリン車、ディーゼル車の販売・製造を禁止することを表明し、次期の検討に入った。
◆なぜ
北京など多くの都市で大気汚染が問題となっているため。また、EVやPHVをはじめとするNEV(新エネルギー車)で世界を代表する中国企業を作る狙いもある。
◆中国の現状と今後は
中国の16年の新車販売台数は、2800万台と、米国の1.6倍、日本の5.6倍となっている。フォードやテスラ、VWやトヨタ、日産などが合弁で現地生産や新車の投入を加速する構えを見せており、今後は自国企業の優遇ではなく、外資の規制緩和となるような政策が求められている。
◆所感
ネット産業では外国を締め出し、自国の企業のみで急成長を図りBIG5に対抗している中国。文化や歴史、リスクを理解し、安易な企業展開は避けたいところではあるが...。
どうやって人件費削ろうかな~
「100円で質と新鮮味 追求」
(2017.9.10(日)付 日本経済新聞朝刊2面 インタビュー より)
◆概要
大創産業社長矢野博丈氏のインタビュー記事。100円ショップの今と、今後の在り方を語る
◆現在消費者が100円ショップに求めるものとは
商品に求められる品質の水準が年々上がってきている。安ければ売れるのではなく、原価を上げて高品質のものを提供しなければ売れなくなる。
また、もうワンランク上の商品が欲しいという消費者の希望に応え、150~200円の商品も拡充している。
◆海外ではどうか
米国では1.5ドルショップ、中国では10元ショップとして出店している。商品に求める質は日本が最も厳しい。
◆今後の課題は
セルフレジなどで人手不足解消を試みるが、商品の品出しや発注には多大な労働力を必要とする。生産性の向上のみでは、アイテム数が減少し、お客様の選択肢を狭めることとなる。
◆所感
人件費や労働力をどう使うか、ということを考えさせられる。何よりもお客様のためになるのであれば、惜しみなく労働力をつぎ込んだり、反対に機械に任せたりする、という印象を受けた。消費者や取引先のため、というのが一つの判断基準になるといえる。
M字の次は...(下ネタではありません。)
M字カーブ「谷」緩やかに
(2017.9.9(土)付 日本経済新聞土曜版 1面トップより)
◆M字カーブとは。
15歳以上の総人口に対する労働力人口の割合を折れ線グラフにした際、アルファベットのM字型になること。これは、30歳~40歳代の女性が出産や育児のため労働から離れることによるものであり、欧米と比べ、日本は極端に谷が深くなっていた。
◆なぜその谷が緩やかになってきたか。
企業が女性の離職防止のため、育児休業制度の整備を進めているため。
◆さらなる課題は。
保育所不足による待機児童が、2万6千人存在する。これを解決しないことには、M字カーブを完全に解消するには至らない。
また、夫だけで生活を賄っていくことができず、やむを得ずパートに働きに出る女性多い。賃上げや、在宅勤務等の生産性向上がカギとなる。
◆所感
平均初婚年齢、生涯未婚率の上昇を忘れてはいないか。結局のところ、結婚、出産を経験しない女性が増えてくれば、労働から離れることもない。その状態でM字が解消しても、次に待ち受けるのは、右肩上がりのグラフとなることは言うまでもない。